2011年4月14日木曜日

東日本の余震

ニュースが千葉近辺の余震が6.5度と伝えていた。しかし人の感覚が麻痺するのがこんなに早いとは知らなかった。ほんの少し前は、 震度5度と聞いただけでも恐怖を感じたのに、 震度9度の現実の凄さを見せられた今は、6.5度がさほどと思わない感覚になっている。受ける被害に違いはないはずだが。

その昔、 国会議事堂前地下鉄駅近くの霞ヶ関ビルがまだ建設間もない頃、(もうそんなビルはないのかもしれない)私はあのビルの31階で働いていた。そしてある日震度5度の地震があった。  勿論エレベーターは使用不可。階段へたどりつくのに壁伝いでやっと歩き、 ハイヒールを脱いで階段を31階から降りた経験がある。 

「みんな一緒は怖くない」とお互いが励まし合いながら 長い階段を降りた。やっとロビーへ降りてみたら、 そのビルを建てた建設会社の名前入りの上着を来た社員がなんと一番乗りでロビーへ駆け降りたと聞き、 ロビー中の人たちが 「ウソー」とその一群に白い目を向けた記憶がある。

「今回の東日本での被害は東電の起こした問題である。 地震津波はその引き金を引いただけのこと」と書き込んでいるコラムを読んだ。怒りの持って行きどころがないほどの苦しみは良く分るが、 天災へ怒りは向けられないから 誰かを血祭りにするつもりのように見受けられる。

原子力発電は社会の敵。 「騙された」という書き込みをたくさん見る。 本当に皆は騙されたのかしら。 毎日利用している電気に関して少しも興味がなかったのかしら。

実を言うと、我が家の同居人も40年前にあの福島一号、二号の組み立てに参加している。その後に同じ日本国内の違う現場では仕事中に被爆している。 両肺がすっかり放射能汚染されていたそうである。検査した医者は、 360年もすれば肺の中のものは消えるでしょうと云ったそうだ。

人間の作り出す物に完全は無い。最大の努力はするが、完全はない。 同居人に言わせればこのような仕事をしていれば、 いつかは 放射能が体に入る可能性があるのは仕事の現場に居ればその程度の知識はある。 嫌なら止めれば良い事。 しかし、彼の場合いは5年後の検査で、肺の中の放射能汚染はすっかり跡形なく消えている。

原子力発電に関しては、殆どの人は、騙されたのではない、 最初から興味も無かった問題であったはずだし、 毎日電気を使用してその恩恵だけは十二分に受けていたはずなのに、 「騙された」「今回実情を知って驚いた」政府が悪い、東電が悪いと書き込みはつづく。 それでは、 これからの日本といわず世界の発電はどのような形式を「騙された」と思う人たちは提案するのか知りたい。

人が、社会が、前進する時に、その前方を阻止するならば、 それでは どの方向へ進めば得策か道を示す義務がある。 「何でも反対、違うやり方があるでしょう?」という無責任な論法はこの際止めたほうが良い。ただイヤイヤだけなら、うちの猫も出来る。 鮭がいやだから 他の魚を出せと、ではヒラメを出せとは猫は言わない。 皆がこれから、原発ナシの電気の供給を真剣に考えなければならない時が来ているのだから。

水力発電にして、狭い日本の土地を買占め、 畑や牧場、人家を水の底へ沈める方法が良いのか、
火力発電にするとしても、石炭や重油問題をどうするのか教えてもらいたい。 世界がどれほど重油問題で騒いでいるか、重油争奪戦では 若い兵士も民間人も殺し合っているのだ。
アメリカの現政府は国内の石油は掘らないというスローガンのもとに誰かさんは大統領になっているはずだ。 

まだある。 風力発電がある。 
アメリカでは、風力発電を提案する資産家がロビーイストを大量にワシントンへ送り出し、
風力発電へ政府の方針を向けさせようと努力している資産家が居る。 今この会社の株を買うと良いらしい。 少しの間は値上げをするかもしれない。
しかし、あれも土地が必要だ。 広大な土地が必要なはずだ。そして、 広大な土地に並ぶプロペラの周辺はその騒音で人家は建てられないと聴く。  また その風圧で空飛ぶ鳥が吸い寄せられてプロペラ飛び込み自殺が相次いでいるとか。  愛鳥家や自然保護団体が目を向いて反対すれかもしれない。

私の住むヒューストン南部では、 毎年ハリケーンが来るたびに停電になる。  地理的理由から、私の受けた最長停電生活は15日間だった。日本式に言えば「ありえない生活」 それも真夏の暑さの中で。 今でこそ、ジェネレータがあるが、 そうなると、それを稼動させる石油確保の苦難は必然的に電気の有り難さを教えてくれる。  

東電原発は、地震対策として、震度7.6度を想定していたそうだ。津波対策は 5メートル。しかし、 今回は震度9度、津波は10メートルを出た。 
私は、それなら、想定は、12度、 20メートルにしておけばよかったのよと云う権利はない。
そんな事、誰も予測しなかったことであるだろう。 予測していたのなら、 そう言い出せばよかったのだ。

私は対岸の火事を見物しながら、 火消し組の働きへの悪口を言いたくない。 少なくとも、遠く日本の国を離れている日本人が今災害に困難な生活を強いられている人たちへ、原発が悪い、放射能が悪い、政治が悪い、東電が悪いと書き込むことが被災者への親切にはつながらないと思う。

今回起きたことで、天災の恐ろしさ、人間の出来る事は本当はとても小さい事なのだと、そして この世には完全はないという事をもう一度自覚させられたと思っている、   

2 件のコメント:

じゅんたろう さんのコメント...

全くお説の通りです。あれから一月、国民の復興への努力が驚くべき速さで進んでいます。仙台空港など米軍の必死の復興作業で開通しました。毎日のようにゆれています、今も栃木県南部でマアグニチュード5.9の地震がありここも4の揺れでした。だんだん西の方向へ震源地が移っているようです。
原発の件は確かに大きな問題ですが、報道各社がニュース性を強調するあまり返って国民に不安を与えているようです。日本では関東地区はおよそ29%、関西地区は40%を原発に頼っています。水力発電は安定しませんし火力ではCO2の問題に逆行するばかりです。
今回は想定外かも知れませんが、原発に頼る方法をこの際前向きに検討すべきと私も考えます。半径30キロの地域はヨウ素は徐々に半減しています。東京にはかの地も含めて各県のパイロット・ショップがあり人々は競って買い求めています。産業の復興のため冷静な人々は自分達に出来る事と積極的です。
霞が関ビル健在ですよ。

革袋の一滴 さんのコメント...

じゅんたろうさん こんにちは
そうですか、 霞が関ビルはまだ健在ですか。
あのビルの地下街に「万世」という
ラーメン屋さんがありました。 麺が太く、(麺の作り方の実演も開店時は見せていました)油ギトギト ラーメンは本当に美味しかったです。
この次に帰国した時は訪ねてみます。 あの~ 勤めていた会社へではありません、 ラーメン屋さんへです。