2007年10月10日水曜日

直美卒業

いろいろありました。そして四年と六ヶ月で末娘もやっと大学卒業です。 専攻科目心理学と哲学ではNational Honor Roleに席をもらい、卒業式はCumLaudeで卒業したのだからこれは褒めてあげなければならない。しかし彼女は四年と六ヶ月が必要だった。 五月の卒業間じかに事務所で卒業手続きを始めたが、単位が足りないから卒業は出来ないと知らされた。 大変だ~。  又大学生のやり直し。 夏季コースと九月からの新学期に再度四年生を繰り返す。十二月まで授業に出てやれやれ。 翌年の五月の卒業式の手続きを再度する為に事務所へ行く。 今度は違う事務員が座っている。 彼女は卒業手続きをしながら聞いてきた。 何で十二月まで留年したのですか?貴女はこの五月で卒業出来たのに。知っていますか?
単位が足りなかったはずという説明に、「あーアレね、あの事務員はもう辞めました。 彼女あの頃何名かの生徒の単位をPCに入力する作業を怠ったのですよ」
そんな馬鹿な。 冗談ではない。 一人の事務員の怠慢が起こした被害は甚大である。 五月に卒業できなかったために大学院進学も一年見送り、半年分余計の授業料の支払い、この大学は私立である、おまけにカトリックの神父で占められた教授陣、 各クラスの生徒数は十五名以下。州立の大学より月謝高いんだぞ。
まだあるのだ、夏期講習になんと直美ちゃんはイギリスの大学を選んだ。例え二ヶ月とはいえ自分の取りたい課目の教授がイギリスの大学の夏期講習へ向かうからと、そのクラスを取りたい生徒がグループを作って教授の「追っかけ」をするというのだ。ついでに皆でヨーロッパまで足を伸ばしてバックサック旅行をしてくると実に嬉しげであった。
どうしてその教授がこの大学へ戻ってくるまで待てないの?と言い出したいのを必死で耐えた母親の身にもなって欲しい。いったいどのくらいの生徒がこの間違いの被害にあったのだろうか? 本当にもう授業料返してもらいたいワ。
怒り心頭の母親を尻目に直美ちゃんはあまり気にしていない。 おかげでイギリスへも行けたし、フランスにもイタリーにもオランダにも。

夏期講習の後このグループは一日の終わりの宿泊所を決め後は皆が別行動をとることにしたのだそうだ。両親の財政の豊かな子は何枚ものクレヂットカードを持って買物に忙しい。別の子は観光を望み、又美術館めぐりをしたい子と其々が違う好みが一緒の行動をすることはない。その間の連絡はサイト喫茶に入ってE-mailをチェックする。そんなやり方だったらしい。 そのアイデアには賛成だ。 なにも皆が吊るって同じ行動をとることはない。生徒の中にはヨーロッパに居る親戚や知人へ訪問する子も居る。毎晩決めた宿泊所へ一同が集まりまた翌日の計画を立てる。そんなことをしているうちに一人の男の子との連絡が途絶えた。 ウエブ喫茶店をみつけては誰もが自分の行動を書き込み各々のメールへ送信していたが最終地の国で彼はついに姿を見せなかった。

たぶん汽車を乗り間違えてサイト喫茶もないような片田舎へ行ってしまったのだろう。 そんなの待っていたって時間の無駄になるし、彼は英語もスペイン語も堪能なのだから大丈夫とかってに結論をだした 
。そこで彼女たちはまた彼のメールアドレスに各自の予定を書き込み、グループを解散、各々の親戚友人の居る土地へと出発してしまった。
直美ちゃんも幼友達がオランダにサッカー留学をしているからと彼のアパートへ向かった。

世の若い男の子に伝えたい、 女の子を甘く見ないこと。モタモタしていると置いてきぼりを食いますよ。

十二月で授業が終わっても卒業式は翌年の五月。大学院進学は九月から、それには大学院進学統一テストを受ける。その為の勉強、内申書、教授陣への推薦状の依頼、エッセイ書きとすることは山ほどある。 遊んでなどいられない。空白の五ヶ月は彼女の為にはよかったのだと考えを切り替えることにした。

大学の事務員が一つ良い話をした。 数ヶ月以内に他所の州から大きな心療クリニックがこの街に移転してくる。もう建物も決まり、医者と患者は殆ど全員この街に移動するが、必ずしも病院の全従業員が移動はできない。看護婦、研修生などかなりに人数が来られない。そこで当大学の心理学部にも研修生の推薦者の依頼が来ているが、貴女の名前もリストに載せましょうか?

1 件のコメント:

じゅんたろう さんのコメント...

うーんと唸ってしまいました。直美さんって、マイナスごとをプラスに転化してしまう才能なんですね。前向きの姿勢はやはり御両親を見て育ったからでしょうが、アメリカという国柄は日本の環境とは違い他民族がせめぎあう土地ですね。自己を確立しておかねば誰も助けてくれません。私の学生時代は多少今とは違っていました。学歴社会がだんだん薄れ実力社会になってきています。今の若者は戸惑っています。和製英語だと思いますが、ニートと云う大学は出たけれど・・・、なんとなくその場しのぎで暮らしている人たちが社会問題になっています。小中学生、学力体力ともに低下の一途を辿っている現状です。
直美さんは其処の病院であのカトリ-ナの時患者さんと留まったのでしょう?
これ以上コメントできないほど考えてしまいました。
じゅんたろう