2010年4月22日木曜日

で、と が、と、 に のお話し

女性五人が集まっての昼食会。 

―飲み物は何が宜しいですか? コーヒー、紅茶、日本茶、お水、それから スプライトもあります。

お客一人― 「私は紅茶でいいです」 そして 後の二名も 「私も紅茶でいいです」
私― 「お水を下さい」

食事はいともスムーズに運んだが、私は妙に気になりだした。
紅茶「で」いいです。とは 本当は紅茶以外の飲みものが良かったけれど、相手を煩わせる事を気にして、紅茶で手をうったのか。 しかし、 お湯とティー バッグとカップはカウンターに出ていたから、セルフ サービスだったのだ。


今読みかけの本の中に
酒場の中で 男性が若い女性にー「飲み物は何がいい?」
若い女性―「私はお水でいいです」そして彼女の心の中の描写は(わたしはここでお酒を呑みたくない)
男性― 他にもいろいろあるけど、 アルコールの入らない飲み物もいろいろあるけど?
女性― いえ、 お水でいいです。 

この「で」を使うと多少ややこしくなる。これを お水がいいです、とか お水を下さい。 「が」とか「を」に入れ替えると相手側はすぐに納得するし、雰囲気が柔らかくなってくるようなのだが。 
「で」は少し意固地さが感じられる。 それなら、私の知人たちはどうして、「紅茶でいいです」と云ったのだろう。ホストは最大限の歓迎をしようと 二日も前から料理をしていたのに、「で」はないだろう。


そういえば、昔実家の母が自分の気持ちを表すのに、「で」を使っていた。お母さんはxxxでいいよ。  私は xxxでいいから、 他にもいろいろあるけど?の押しに、 良いの、これでいいから。 「お母さんはこれで十分」と答えが戻る
それでももう一言押して、
好きなものを注文したら? 
「お母さんはこれが好きなのよ、だからこれで良いの」何処か違う。ときには 
「お母さんはxxxにしとくから」   何か母の気持ちがはっきりつかめなかった。 望んでいるのか、妥協しているのか、遠慮しているのか。  しかし、遠慮の気持ちを相手に分らせるのは 或る意味で マナーに反するのと違うのではないかしら。

本のつづき、 その若い女性が又同じ男性と同じ酒場へ行く。

男性―「何を飲む?」
女性―「ミルク ティーにします」(彼女はとても気持ちが高揚していたとつづく)

やれやれ、「で」でも「が」でも「を」 でもない、今度は「に」に変わった。 
やはりどのような返事をするか「で」意味が違ってくるらしい。
日本語って本当にむずかしい。   

5 件のコメント:

あらま さんのコメント...

日本語の「てにをは」は、学者様の永遠のテーマの一つなんだそうですね。
明治時代では、そうした煩雑なものは廃止しようと言う運動まであったそうです。
それにしても、「水でいいです」なら分りますが、ソフトドリンクを選ぶなかで「紅茶でいいです」という言い方は解せないですね。
一滴さまが指摘されているように「本当は他の飲み物が欲しいのに、それがないので仕方なくこれを選んだ」という気持ちにも取れるし、相手の心遣いに対して「構わないで、そんなに気を遣かわないで。」とも取れるし、また、その両方をミックスしたものにも思えます。
小生のような鍛冶屋が「~でいいよ」と言うのは、「本命がないなら仕方がない、それで間に合わせるよ」という意味で使う場合が多く、決して良い響きではありません。
つまり「仕方がない」という伏語を含んでいるように感じるのですね。
ですから、少なくとも、目上の人に使う言葉ではナイように思います。

革袋の一滴 さんのコメント...

ナルホド 目上に使う言葉でない。 それで母はいつも、「わたしは。。。で 良いよ」となったのかもしれません。
若い男性が、「エッほんと、ビール有りますか? 僕それ下さい」この言い方好きです。
年寄りだと「ヤーお茶結構、 最近呑めなくなりました。年ですかね~」そして期待の眼(まなこ)チラチラこれは少し哀れを呼びます。
英語は簡単です。「take」という言葉をつかうのが多いです。「I'll take xxx」となるので、「てにをは」はありませんね。
我が亭主はずるいです
Anything you serve I'll take it.
主体性がないのです。本人に言わせると、どうせ 自分の欲しいスコッチは論外だからだそうです。
我が家では、食事のときは水かアイス ティー、相手に訊きません。 時々おかしなのが、 食事中の飲み物に コーラ を要求するのが居ます。でも 我が家では ソフトドリンクは買いませんからありません。 

あらま さんのコメント...

君が出してくれるものなら、なんでもいいよ・・・
主体性がないのか、相手を信じているのか、諦めているのか・・・
実は、小生も口こそ出しませんが、妻が提供してくれるものに対しては 100% ウェルカムです。
つまり、選択権を丸投げすることによって、その煩雑さから逃れているわけですね。
そうした意味では、男性はズルイのかもしれません。
ところで、「~でいいです」と言う言葉が気になってきたので、子供たちに訊いてみました。
すると、若者たちの感覚では「それで大丈夫です」という伏語があるようなんですね。
小生のような年輩の感覚では「仕方がない」という感覚で、それは妻も同じようでした。
しかし、妻は、子供に尋ねられた場合は、「心配しないで」という気持ちが出で「~でいいよ」と答えるとも言っています。
つまり、TPO によって使い分けているようです。
その点は、妻も一滴様のご母堂さまと同じ感覚かとも思えます。
いずれにしても、曖昧さが残りスッキリしない言い回しなんですが、それが日本語の特徴なんでしょうか。
ところで、「今夜のおかずは何にする ? 」と尋ねられたときに、「何でもいいよ」なんて答えることは、確かに失礼ですね。
気をつけたいと思います。

革袋の一滴 さんのコメント...

あらまさん ありがとう

>「それで大丈夫です」という伏語があるようなんですね。< 
>子供に尋ねられた場合は、「心配しないで」という気持ちが出で「~でいいよ」と答えるとも言っています。<

とても良く分りました。言葉は日本語英語関係なく難しいです。 でも現代風日本語で「目からうろこ」と云うのですかしら?それです。
よく英語(米語)には 敬語が無い と言われますが、そんなことないのです。 これですという改まった敬語ではなくても、 丁寧語、知識人の会話はおのずから違います。一つの文章の変わりに一つの単語で表現する。そんなセミナーがありました。
本当に人は死ぬまで勉強ですね。疲れます。 

手負い虎 さんのコメント...

「でも」もくわいてね^^。
これは独り言ですが、「今日はお茶でも飲むか」といった場合、その「でも」は「とりあえず」という意味になります。

他人から、水かお茶か、またはほかの飲料の選択を求められた場合、選択肢の中に本当にほしいものがない時は、「どうでもいいけど」水「でも」いいやという意味ね。

失礼の最上級だけど、ほとんど一滴さんのおっしゃる「で」と内容は同じです。ただし、日本人は一般的に、これを無礼の極みとは思わず、かえって、単刀直入を無礼と思うようです。

実は私は、こういう含みを持たせた言葉を使わないために、無礼の極みと思われています。

私なら、「どれも今は結構です」とか、「コーラは健康に悪いから飲みません」とか、「あれば、ハーブティーがほしいけど」とかいっちゃうのでね^^。