2010年2月1日月曜日

アイヌの足跡

近所で同じように自営業を営むネッドさん。この人のわが亭主殿への影響力は絶大である。 まずバイク狂にしたのもネッドさん。 彼は 事務所の中に六台バイクを忍ばせている。 これは奥さんから隠す為。 自宅に持ち込むと「もういい加減にセ~」と離婚話が出るそうだ。しかし、その六台全部走らない。 どれもどこかが壊れている。 それでも一台はいつも良い状態に保ち、熊の自転車乗りのように楽しげに乗るのだが、 (バイクはホンダ450. 彼は体280ポンド、6フィート、どうです、 どう見ても 熊の自転車乗り曲芸ですね)しかし最近はその一台も、ボタボタと走っていたのが、ついに ガクン。今は走ってくれるバイクがない。 あ~お気の毒。 

普通に日産のトラックを運転して、毎日安全生活の中にいたわが亭主を彼はバイク狂へ引き込んだのだ、それと同時にネッドさんは アルコール患者の過去がある。 そして、今は AAミーティング、(アルコール患者支援活動)の奉仕活動をしている。 おわかりかな、 彼がわが亭主を禁酒思考へと導いたのです。故に私のネッドさんへの感謝は 五分五分としてますが。

そのネッドさんが先日一冊の本を私のデスクに持ってきた。日本の本なのは分かっているけど、 どんな本だか全く分からない、 解答を頼むというわけ。 本の表書きは「アイヌの足跡」と書いてある。 中は図案、スケッチ満載の、北海道アイヌの生活の仕方、習慣、食糧、祭の仕方などアイヌ紹介、アイヌ生活解説書に近いう本だった。  最初の出版が大正13年、続版が6回あり、 最後の印刷が昭和16年と書いてある。旧仮名使いの古い本。 はたして私に読めるかしらと案じたが、 結構読めた。 字体は古いが日本語の漢字には変わりないのだから。しかし、まさにこれは アンティークである。昔、ネッドさんの伯父が船で北海道に辿りつき、無人小屋の中にこの本が一冊置いてあったのだそうだ。 勿論伯父さんも何の本が分からずそのままアメリカに持ち帰ったというわけ。

伯父さんは、住居侵入、窃盗をしたらしい。 勿論その伯父はもう亡くなっているが、 本だけはネッドの父親のもとに行き、 その父親も亡くなり、その奥さんがご主人の遺品として大切に持っていたのだそうだ。  たった一冊の「アイヌの足跡」とう小さな本が遠く遠く離れた テキサスの街で、多分60数年後 初めて、何が書いてあるか解明したというわけ。

グーグルで本州と北海道の地図をプリントしたものと、アイヌという呼び名を書き取った紙を大切に本の中へ入れて持ち帰ったが、 あれをどうするのだろうか? やはり遺品の中へ又閉まって置くのだろうか。 そして、ネッドの孫の時代になって又誰か日本人を見つけて読んでもらうのだろうか。   

5 件のコメント:

あらま さんのコメント...

『アイヌの足跡』をネットで検索してみますと、アイヌ研究の材料として、現在も利用されている良書みたいですね。
「古本」としてこの本の価値を調べてみますと、比較的 今も手に入れやすいようですね。
ですから、骨董としての価値よりも、ネッドさんの伯父さんが‘戦利品’? として持ち帰ったことに意義がありそうです。
欧米には、数多くの日本の歴史的遺物が流れているようですね。
日本国内で処分されても、海外で残されているものが数多くあるそうです。
ネッド家におかれましては、是非、伝家の宝物として、末永く保存されることを期待しています。

革袋の一滴 さんのコメント...

終戦直後の北海道。 寒い北風がビュービューと吹き荒れるある日。

「米軍の船が来るぞ~ みんな逃げろ~」と部落全員が非難した後に、 閉め忘れた扉が風に打たれて バターン バターン。
そこへ、 熊のように大きな米兵が二人、ドスン、ドスンと軍靴を鳴らして小屋へ侵入。

人っ子一人居ない扉の内で、米兵はキョロキョロ。 かまどの傍の木机の上に本が一冊。 先ほどまで父親が子供達に見せていた本が一冊置き忘れてあった。 窓から入る風が表紙をパラパラとめくる音だけが耳に入る。

米兵はその本に目を止め、手にして見たが何が書いてあるか分かるはずもなく、 結局その本をポケットへすべり込ませて扉を出て行く。

なんちゃって、 考えると面白いですね。 お粗末でした。

あらま さんのコメント...

すばらしい ! !

一滴さまの文才には敬服します。
もしかして、そういったお仕事をされているのでしょうか ?

「軍艦」バージョンも素敵ですが、「難破船」、「捕鯨船」、「気球」、「飛行機」、はたまた 「UFO」 バージョン・・・なんてのも想像すると面白そうですね。

革袋の一滴 さんのコメント...

アメリカ人は世辞を本気と受け取る人種です。それに習って、ハイ ありがとうございます。 書き込みって面白いですね。 私のスケッチ ブックです。

 私は町の小さな事務所のおばさんです。毎日電話番と「零」に近い資金の経理をしております。すなわち経理の仕事が無いということですナ。

でも UFO 良いですね。 私は信じる組ですから。ロマンがあります。

革袋の一滴 さんのコメント...

じゅんたろうさんは書きました~

「アイヌの足跡」!何と同じものを私はもって居ります平成四年版です。
アイヌ文化と沖縄文化との比較のため探し出したものでした。無論ある種族はアメリカ大陸との交流もありますのでその分野のものも探そうとはしていますが、何時のことになるやら。