2011年6月11日土曜日

シシーのその後

シシーもすっかり回復して、二週間ほど前は、 ジョンの高校時代のクラス会が豪華船クルーズ一週間というのに、 彼女も同行してきた。 介護側のジョンにしてみれば、これは絶対にダメだと諦めていたが、彼女が提案して一緒したというわけ。 大衆の中へは行かれない。作り置きの食品は食べられないはずだったが、 本人が行くと決めたのだから大丈夫なのだろう。

結果的には それが良かった。帰ってきたシシーはすっかりと病人から抜け切れていた。 もう普通の人の仲間入りが出来る。 

臓器移植を受けた患者はその後の性格が変わるのだろうか? 先日私がシシーにそれを訊いて見た。自覚は余り感じられないが、 ジョンから 少し変化があると指摘されたそうである。会う機会の少ない私でさえ、 彼女の変化を感じる。

臓器の提供者は35歳の男性だったと知らされている。 無論それ以外のことは極秘に入るのだろうが、 シシーはいつかその人の家族を見つけたいと話している。 まあ、それは 今現在のセンチメンタルな気持ちからともと考えるが。 果たしてそれが良いのかどうか。 あまりバンドラの箱は開けないほうが良い気がするが、それは部外者の考えになる。

元来シシーは人の集まりの中で話しをするタイプではない。しかし、会話はしっかりと聞いている、それも人が座っている外側に何時も位置する。 キッチンでお茶を入れながら、 隣の部屋で仕事をしながら、 聞こえていないのか?とおもうと どうしてどうしてしっかりと訊いている。
そして、 皆の後ろから、会話へ加わるタイプであった。 それが今は最初から皆と同じところに座り良く話す。

夫のジョンから文句が出ている、彼女は自分をコントロールすると。多分後ろから話すのではなく、顔を見て会話をする妻さんからプレッシャーを感じるのかもしれない。
後方からの遠隔操作のコントロールを受けていたジョンは、 突然、リモートなしでの意思表示に驚いているのかもしれない。 

夫のジョンは税法の弁護士であり、公認会計士(CPA)でもある。目から鼻に抜けるように頭が良い。 そして、饒舌である。 彼が話し始めると誰もが黙る。 もっとも口を挟む余地がないほどに会話が面白く巧みである。 決して人を退屈にさせない淀みのない会話、わたしはジョンの話しを訊くのがすきだ、 しかし、 そこをシシーに絶えず中断されてジョンはイライラしているのかもしれない。

肺全体をしめる大きな臓器である。それも両肺とは、胸の殆どの部分が入れ替わったことになる。 提供者が若い男性ならもうじき胸毛が生えるかしらね? と二人は大笑いをしたが、 やはり女とは面白い動物で、 気になる。

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