2009年7月5日日曜日

山椒の実




東京の実家に、小さな「山椒の木」が植木鉢にあり、夏になると可愛らしい緑の葉がついて香りを楽しませてくれた。 それを母が数枚摘まんでは白みそと混ぜ タケノコなどに絡めて夏の味覚を楽しんでいた記憶がある。これは私の昔の想い出。 

私自身も子供たちが成長してからは、 そんな日本の風味がまた懐かしくなり、 一度母の家に帰ったときに、 その山椒の木の根を少し分けてもらい このヒューストンで育ててみたいと思った。 しかし、その時は もう山椒の木はなかった、 だれでも考えることは同じなのだろう、 兄がいち早くその植木鉢をせしめてしまったらしい。

それ以来 山椒の木は私の頭から離れたことがない。 時たま私の心が 「山椒がほしい」「山椒が欲しい」と囁く。 帰国の度にデパートの佃煮売り場で 「山椒の実」の佃煮を買い、 私の満たされない心に 一ときの満足感を与えてくれるが、 やはり 「山椒の木」が欲しいと囁いている。もうこなると なぜ欲しいのか分からない。この馬鹿暑い気候のヒューストンであのデリケートな 山椒の木が育つ保障もないし、 やはり私の手に入らないのは きっと神様が 
「貴女にはあの木は必要ではない」と決めていらっしゃるのかナ? と考えることもあった。
勿論この街の植木屋で似たような葉を見つけると、ちぎって匂いを嗅ぎ アーまた違う、の繰り返しであった。

しかし、 神様はやっと 私にも 山椒の木を持って宜しいと言ってくださったらしい。
私の願いがかなって、 東京近郊に住む 家族とも言える最も親しい私の友人たちが「山椒に実」を見つけ、 まだ緑あざやか、香りあざやかなる 実を両の手にあふれるほどの量を送ってくださった。
これを幸せと云わずになんであろう。 

さてさて これから 小さな緑のツブツブを立派な山椒の木に育てるのが私の仕事となった。
まずは 買ってきた 発芽キットとでもいうのか、 欲張りの私はキットを三つ、計78個のミニ ポットに丁寧に三つずつ実は寝かされている。 これにプラスチックのカバーをして、私の厳しい監督下の元で 芽がでてくるように毎日窓際で日向ぼっこをすることになる。

毎日 38度から40度を超える暑さの野外にはとてもではないが 出せない。 卵焼きが欲しかったら 外のコンクリートに卵を割れば スクランブル エッグが出来る気温 あの小さな実なぞは 一日で悶え死んでしまう。 

78個から全部芽がでたらどうすると少し気になるが、本音はそんな悩みを持ってみたい。
数年後には ヒューストンに山椒の木の林が出来るかもしれない。 こんな贅沢が許されて良いのだろうか。 しかしまずは小さな芽が出てもらうことを願う。 

 

2 件のコメント:

じゅんたろう さんのコメント...

本格的な苗床ですね。ものの本に拠ると日本では山野の沢沿いに多く見られ、庭などに植えられたものは2メートルから5メートルになり・・と書かれていますが、さて気温のことは触れられていません。しかし南国土佐や瀬戸内などのほか九州でも盛んに実っているようなので暑さには強いかもしれません。しかしスクランブル・エッグ気温では?トライ!トライ。
梅雨時になりますと山椒、梅、ラッキョウや紫蘇など日本人には欠かせないハーブ?の季節です。この季節にしかないのですからスーパーはおおわらわです。山椒の薬効は数多く
和漢薬といったところでしょうか。しかし残念、エル・ニーニョーのせいか梅の作は近年最低です。
山椒の実よ頑張れ!早く芽を出せ山椒の実。

手負い虎 さんのコメント...

そんなにたくさんあるなら、いろいろな方法を試せばいいのに。2,3粒は、地面に、2,3粒は日陰に、とかいろいろ試すと、ほかが失敗しても、数本ぐらいは成功しますよ。ヒューストンにアゲハはいないのかな。アゲハがいるなら、山椒も育つはず。

私の領地じゃないけれど、家の外側に小さな山椒が自生していて、ひそかにかわいがっています。あれって、成長が遅いのか、まだ15センチぐらいです。時々葉っぱはいただくけれど、まだ実がなるほどになるには時間がかかりそうです。

なんかほしい種があったら、送りますよ。国外に生活して、日本のもの大切にする気持ち、知っているから。