2009年5月26日火曜日

老後はどうしよう  1

ウェバー夫妻は ともに七十代後半。 息子が一人 同じ町に住むが 結婚はしていない。 ウェバーさんはもう 毎週の庭の手入れや芝刈りが少し大変になり、 いつも二日に分けてするようになった。 奥さんも毎日の食事作りにうんざりしている。 この町では一般的なサイズの、 寝室三つの家に住むが、夫の定年退職以来二人に尋ねる人も居ない。 おまけに奥さんは少し 引きこもりのところがある。 引き込もり主婦の常で、家の中では 彼女のルールが存在して、そのルールに添わないと旦那さんは 結構奥さんから 厭味の制裁を受ける、 二人で出掛けるのは 奥さんのお医者さん通いだけ。 絶え間なく どこが悪いかと 頭の先から 足のつま先までの各医療機関専門医の定期健診に励む。 ご主人が かつて職業軍人であるから 医療保険だけは心配なし。 

そこでご主人は 老人用コンドミニアムを探しはじめた。 家のスケールが一回り小さい、 部屋数も少なくなるが、食事は キャフェテリアで出来る。庭は猫の額ほどになるから 手入れはいらず、 回りが緑に囲まれ、小さめな人口池もあり、 何よりも彼にとっての魅力は 社交の場があり、 老人たちの集まりの場があることだ。 彼はいつもいろいろな社交の場へ行き、人と交わりたかったが、 奥さんが一緒に出かけてくらない。  一人で出掛けることもできるが、 連れ合いの居る人は 一緒に来るのに、 一人者でもない自分が何故一人で出席しなければならない。 いちいち妻の欠席の説明をするのもシンドイと彼も退役軍人の集まり、 BBQ パティー、 元職場のクリスマスパーティーなどなどへ出かけなくなっていた。今は毎日犬と二人で散歩をするだけ。その犬も老人になり、 行きは歩いてくれるが、帰路はウェバーさんが抱えての散歩となる。

ガードマン付きの門構え、ゴルフ場、 散歩道、 歩いていける箇所にキャフェテリア、日に二食か三食かは 契約で決められる。 各住居には小さめな台所もある。 医務室には医者一人と看護婦が常時勤務。 ソーシャルホール、もう車の運転をしない人へのミニバスーサービス、 
一応ご主人の希望が全て組み込まれている。  現在住む家は 築35年、もちろん支払済み。 現在でも毎月の水道ガス電気もろもろの支払及び 食費、 交通費、固定資産税、他 もろもろの雑費をすべて年金で賄っている。先方の諸経費とトントンである。 
コンドミニアムは 現在の家の売却値に少し上乗せが必要だが、それは 貯えの中から賄うことが出来る。 
総じて、 現在の家を売り、 現在の年金生活の金額が全ての支払と同額に近い。 

ウェバーさんとしては 失うものが無い。 奥さんの愚痴を聴きながらの食事もなくなる、
一人でソーシャルホールへ遊びに行ける、ゴルフも始められる、庭の手入れが無くなる、
運転しない奥さんの車を処分できる。 車維持の諸経費はバカにならない額である。

この団体の経営は、組織が二分されていて、 現在足腰が一応大丈夫、せいぜい車椅子程度の障害だけで、常時医療機関の助けを必要としていない夫婦が入居可能である。 
次の段階に入り、 本格的介護の必要な 状態になると 次のコンドミニアムがすぐ隣に建ち並ぶ。 そこへの入居は また同じことの繰り返しで、 自分たちの住むスペースを売却、次の完全介護の段階への入居となる。

ウェバーさん夫婦は現在考え中である。  現在住む彼らの家から せいぜい車で二十分の距離にあるそこへ入居するか、 もう少し現在の状態で頑張って、 妻なり自分が介護の必要とする状態になったら、 第二段階の介護施設へ一挙に入ろうか結論が出ないでいる。

マイナス点は、 家の売却を繰り返し、 引越しの繰り返しから来る 経費の損害が馬鹿にならないと気にしている。 

1 件のコメント:

じゅんたろう さんのコメント...

これが日本でも問題なのです。アメリカでも!と驚くばかりです。北欧諸国は行き届いていますね、日々の消費税など高いのですが、年老いても楽しく出来る環境が整っているのは素晴らしい政策です。もう数年で日本の消費税は15%になるでしょう。しかしそれが今までこの国を支えてきた人々に還元されるでしょうか?否!!!官僚たちの餌食になってしまうのです。韓国の元大統領が自殺しました。かのの歴代の政府高官の汚職が問題になっています。日本では?もっとすざましい汚職です。少なくとも次代を期待された民主党、あの小沢氏が筆頭代表者というトロイカ政党になってしまいました。安らぎのある老人?老後生活?この国では期待できません。
誰が、数千万円の養護施設に入居できますか。
死は全く恐ろしくありません。唯、いかに生きてきたか、いかに死ぬべきかそれが日々の課題です。